書類入れ
-
what is a portfolio ?
-
Portfolioとは、複数の書類をひとまとめに持ち運べるケースの意味
日本語に直訳すると「紙ばさみ」「折りかばん」「書類入れ」という意味です。つまり「書類を運ぶためのケース」のことを表し、個々の書類を別々に扱うのではなく、書類全体をひとつの物として扱うという意味を持っています。
「書類を綴じない=内容物をひとまとめにしながらも、部分的に差し替えることを前提にしている」という点が注目ポイントです。つまり、ポートフォリオは、完成品をひとつだけ作るのではなく、提示する相手と状況に応じて内容を差し替えていく、という意味合いがそもそもの根本にあるのです。
ポートフォリオは常に準備・携帯しておくべきもの
またPortaは、英語の「portable(ポータブル)=携帯用の」に通じます。その意味から考えても、ポートフォリオは、転職活動を始めて面接に進んだ段階で作ればいいというものではないことがわかります。転職活動をすると決めた時点から、いや、本来はクリエイターとしての自己紹介資料として日頃から準備・携帯しておくべきものでしょう。
そして、さまざまな機会にクリエイター仲間や知人などに見せて、できるだけ多くの意見をもらうことが大切です。そうすることで、「自分を知らない第三者に、自分を紹介するポートフォリオとして理想的かどうか」を確認する機会を増やすことができますし、他人が自分のポートフォリオに対してどのような反応を示すのか、どんな作品への反応が強いか、自分のスキルを理解してもらいにくい部分はどこかといった傾向がわかり、ポートフォリオをブラッシュアップすることができます。
さらに、ポートフォリオを他者に見せるという経験を繰り返すことで、採用面接時の緊張を軽減し、プレゼンテーションも上達していくことでしょう。
金融・投資用語のポートフォリオ
金融・投資用語としてのポートフォリオは、現金、預金、株式、債券、不動産など、投資家が保有している金融商品の一覧や、その組み合わせの内容(株式の銘柄などまで具体的に)を指しています。
もう少し詳しく説明すると、投資家はリスク管理のために自らの資産を複数の金融商品として分散することがあります。このリスク管理については、よく「卵」と「かご」の話に例えられます。卵を1つのかごに入れてしまうと、そのかごが落ちたときにすべての卵が割れてしまいますが、1つずつ違うかごに入れておけば、たとえ1つのかごを落としてしまっても、ほかの卵は安全です。このように、資産家もみずからの資産をさまざまな種類の金融商品に分けて投資することで、リスクヘッジを図っているのです。
この投資を分散させること、またはその分散の組み合わせのことを、金融・投資分野ではポートフォリオと呼んでいます。このポートフォリオを見れば、投資家がどのような金融商品をどれだけ保有しているかがわかるだけではなく、保有資産の分散の仕方からリスクに対してどのようなヘッジ(分散による備え)をしているのかが見て取れます。
特定の金融商品だけに偏った資産配分をすると、予測外の大きな市場変動があった場合、資産のほとんどを失ってしまうリスクがあります。それを避けるため、「さまざまな金融商品にバランス良く資産を配分しておいたほうがいい」というのがポートフォリオの考え方であり、最もリターンが大きくリスクが小さい最適な組み合わせを探る「ポートフォリオ理論」が研究されているのです。
転職用のポートフォリオにおいても、「自分が最もアピールしたい作品」だけを集めるのではなく、自分という人材の価値を最大限にアピールでき、どのような経験やスキルを持っているのかを余すことなく伝えられるよう、幅広いジャンルの作品をバランス良く集めるべきではないでしょうか。どのような作品を、どれくらいの割合で提示するのか。そのバランス感覚も、採用担当者があなたという人材の価値を評価する、ひとつのバロメーターとなるでしょう。
教育用語のポートフォリオ
教育用語としてのポートフォリオは、教育における個人評価ツール(パーソナルポートフォリオ)を指しています。これは、生徒たちが学習過程で残したレポートや試験用紙、活動の様子を残した動画や写真などを、ファイルに入れて保存する評価方法です。従来の科目テストや知力テストだけでは測れない、個人能力の総合的な学習評価方法(質的評価方法)とされ、学校教育だけではなく自己啓発など、さまざまな教育分野で取り入れられています。
由来は、1980年代後半にイギリスやアメリカで取り入れられ、1990年代後半に日本に入ってきた、ロンドン大学のS=クラーク教授を中心に考案された外来語です。教師とともに生徒自身も自己評価を行いながらステップアップしていくというものであるため、保存する情報は生徒たちが自分のことを客観的に見ることができるよう、意義のあるものを取捨選択していく方式となります。
このような評価するために収集されたもの、もしくはそれらを評価する方法を、教育分野ではポートフォリオと呼んでいます。転職用のポートフォリオとは趣が大きく異なりますが、「結果(完成作品)だけでなく、それに至る経緯を共有する」という点で、転職用のポートフォリオに役立てたいポイントを下記のように見いだせるでしょう。
- 作品を作ったそもそもの目的や意図を明確にし、実際に達成できたのかを説明することによって作品を強く印象付け、理解を深めてもらう
- 制作に至った背景や制作時の状況・環境などの情報を作品に添え、自分の仕事への取り組み姿勢や人材としての強みなどをアピールする材料とする
- 仕事のプロセス(問題解決プロセス)を知ってもらうことで、「これからどのように成長していく人材か?」という判断材料を与える
クリエイティブ用語のポートフォリオ
これが、おそらく今まで皆さんが認識されていたポートフォリオのことでしょう。いわゆる「作品集」であり、自分の職種(あるいは転職希望職種)における実績や力量を評価してもらうために作成する資料です。クリエイターの就職・転職には欠かせないものですが、フリーランスのクリエイターが営業資料として作成したり、デザイン会社が会社案内の補完資料として作成したりと、さまざまなタイプがあります。
グラフィック領域のデザイナーであれば、今まで自分がデザインしたパンフレットやポスター、書籍の表紙などのデザインを中心にまとめていくでしょう。Web領域のデザイナーであれば、Web上で作品を紹介するWebポートフォリオ(ポートフォリオサイト)を作成する場合もあります。ただし、この場合もペーパーにプリントアウトしたポートフォリオは別に添えたほうが有利でしょう。







